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もうだめぽニュース

P2Pファイル共有に関連した国内検挙事例、裁判を振り返ります。

WinMX

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音楽ファイル無断公開のWinMXユーザに538万円の賠償命令

winmx_logo2010年8月6日のRIAJ(日本レコード協会)プレスリリースにおいて、WinMXにて著作権侵害を行っていたユーザに対し、RIAJ会員レコード会社4社が起こしていた損害賠償請求の民事訴訟について、2010年7月5日、東京地方裁判所は被告欠席のまま、原告の請求どおり、大阪府在住の被告(40代男性)に対し、総額5,381,280円の損害賠償金および遅延損害金の支払いを命じる判決(欠席判決)を下したことが公表された。(註:レコード会社が訴えたのであれば、著作隣接権(送信可能化権)の侵害ではないかと思われるのだが)

本件訴訟の被告となったのは、2009年3月に出されたWinMXユーザの発信者情報開示請求にて情報開示を受けた4名のうちの1人(被告以外の3名については、既に和解が成立)。RIAJのプレスリリースによると、2008年11月から2009年3月の4ヵ月間に、WinMXを使用し、約150の音楽ファイルを権利者に無断で公開していたという。

RIAJ側(レコード会社4社)は和解協議のための面談を2009年10月、11月に文書にて要請したものの被告からの返答はなかった。2010年1月には、電子メールで連絡を取ったところ、被告は著作権侵害を認めつつも面談を拒否し、それ以降、数回連絡を全て無視していた。

2010年4月14日、レコード会社4社は東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起し、2010年7月5日、東京地裁は被告欠席のまま、原告(レコード会社4社)の主張を全面的に認め、5,381,280円の損害賠償金および遅延損害金の支払いを命じる判決を下した。2010年8月5日、この判決は確定した。

RIAJ会員レコード会社によるWinMXユーザの発信者情報開示請求(とその裁判)、開示されたWinMXユーザとの和解は2004年から何度か行われてきたものの、和解ではなく民事訴訟によって損害賠償を命じられたケースはこれが初めてと見られている。

RIAJによると、2010年8月6日の時点で、ファイル共有ソフトを利用した違法音楽配信を行っていたユーザ18名との間で、「 今後著作権侵害を行わない旨の誓約書の提出と損害賠償金の支払い」による和解が成立しているという。

参考記事

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2009年9月: レコード会社各社、違法共有を行っていたWinMXユーザと和解が成立

winmx_logo2009年9月29日、RIAJ(日本レコード協会)は、2009年3月に情報開示請求を行っていたWinMXユーザとレコード会社各社との和解が成立したことを明らかにした。

2009年3月、RIAJのメンバー企業各社は、WinMXを利用し、レコード会社各社が権利を有する音楽ファイルを違法に送信していたユーザ4名の発信者情報開示請求を行っていたが、うち情報開示がなされた2名との協議を進めた結果、今後二度と同様の権利侵害を行わない旨の誓約書の提出、損害賠償金としてそれぞれ100万円の支払いを持って、和解が成立した。

残りの2名について、情報開示がなされたのかどうか、協議が進められているのかどうかは不明。

このケースでは、100万円の賠償金額であったが、以前の和解では、平均45万から48万円であった。

参考記事

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2009年3月: レコード会社各社、ISPに対しWinMXユーザの情報開示請求

winmx_logo2009年3月11日、RIAJ(日本レコード協会)は、メンバー企業10社がISP2社に対し、2008年11月から2009年2月にかけて、WinMXを利用し、権利者に無断で音楽ファイルを公開していた4名の氏名開示請求を行った。RIAJは、この4名がレコード会社10社の持つ著作隣接権を侵害するものであるして、プロバイダ制限責任法第4条1項に基づき、4名の発信者情報の開示を求めた。

RIAJは、WinMXのIM機能を利用し、違法に音楽を共有しているユーザに警告を行うという活動を行ってきたが、その中でも複数回の警告に従わないユーザを「悪質である」と判断し、開示請求に踏み切ったのだという。

なお、その後の2009年9月、RIAJは発信者情報が開示された2名との和解が成立したことを公表している。

RIAJは2004年から2006年にかけて、WinMXを利用して音楽を共有していたユーザの情報開示請求および和解手続きを進めていたが、数年の空白期間の後に、再びこうした活動を行ったと見られる。

参考記事

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2006年2月:レコード会社各社、音源を公開したWinMXユーザの情報開示請求

winmx_logo2006年2月23日、日本レコード協会(RIAJ)は、メンバー会社・関連会社21社がISP11社に対し、2005年12月から2006年2月までの期間、WinMXを利用して音源を公開していた38名の発信者情報開示請求を行ったことを公表した。

RIAJは、2004年にも同様の情報開示請求をISPに対して行なっており、2005年には7名のWinMXユーザとの和解を平均45万円の損害賠償金の支払いによって成立させていた。

2006年5月、RIAJメンバー・関連会社14社は、この発信者開示請求に応じなかったISP3社に対し氏名開示を求める訴訟を起こし、同年9月には氏名開示を命じる判決が下された。

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2005年7月:レコード会社各社とWinMXユーザとの和解が成立、損害賠償は平均48万円

winmx_logo2004年11月から12月にかけて、レコード会社8社は、WinMXを利用し不正に音楽データを配信していたWinMXユーザに対する発信者情報開示請求を行い、それに応じたISPから該当ユーザ8名の個人情報を獲得した。その後、弁護士を通じた交渉の末、WinMXユーザ5名とレコード会社との間に和解が成立した。

この情報開示請求に応じたISPからの情報により、音源を違法に公開していたユーザ5名との交渉が進められ、2005年7月に和解が成立。WinMXユーザらは、二度と同様の著作権侵害をしないと約束する宣誓書の提出、和解金額として一人あたり平均48万円の支払いが求められた。

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2004年11月:レコード会社各社、音源を公開したWinMXユーザの情報開示請求

winmx_logo2004年11月から12月にかけて、RIAJメンバーのレコード会社8社はISP13社に対し、WinMXを利用して音楽データを不特定多数のユーザに公開していた発信者情報の開示請求を計3回、計44名を対象に行った。これはプロバイダ責任制限法第4条第1項に基づいて行なわれたもの。

翌年の2005年7月、この請求に応じISPより開示された情報を元に、WinMXユーザとレコード会社との間に和解が成立した。

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2004年3月:ISPに対し 個人情報リストを公開していたWinMXユーザの情報開示命令

winmx_logo2004年3月12日、ファイル共有ソフトWinMX上で自身の個人情報を送信されたという男女7名が、BIGLOBEに対し送信者の情報開示を求めていた裁判で、東京地方裁判所はBIGLOBEを運営するNECに情報開示命令を下した。

東京地裁は、2002年に施行された「プロバイダー制限責任法」に基づき、

「WinMXを通じて、原告の氏名や年齢、住所、電話番号などが記載された個人情報リストが流出し、プライバシーが侵害された」

東京地裁、プロバイダー責任制限法でNECにWinMXユーザーの情報開示命令

としてNECに情報を開示するよう命じた。

これってエステ顧客データの漏洩に絡んでのものだったと思ったけれど、その辺の記憶は定かではないので、ご指摘いただければ幸い。

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2004年2月:JASRACを騙った架空請求IM詐欺がWinMXで横行

winmx_logoここで扱っている事件とは少し毛色が違うが、ファイル共有を利用した犯罪、という意味ではここに掲載しておいた方が良いかなと思って。

2004年2月ごろより、日本音楽著作権協会(JASRAC)を騙り、ファイル共有ソフトWinMXのインスタント・メッセージ(IM)機能を利用した架空請求詐欺が横行した。

このIMは、JASRACの名を騙り、著作権侵害に対する警告と電話番号が掲載されており、この電話番号に電話すると、個人名義の口座に著作権使用料を振り込むよう要求される。もちろん、その電話番号はJASRACとは無関係のものであり、架空請求詐欺のためのものであった。

詐欺IMを実際に受け取ったユーザからJASRACに問い合わせがあったことから、この事件が発覚したのだが、実際に引っかかって振り込んでしまった人もいたという。

こうした詐欺IMは、JASRACだけではなく、日本国際映画著作権協会(JIMCA)を騙ったものもあり、JASRAC、JIMCA共にウェブサイト上でIM再議への注意を呼びかけた。

IMを使った詐欺を思いついたのは、おそらく犯人(またはその一味)がMXユーザで、実際にJASRACから警告を受けたことがあるからかもしれない。IMを利用した著作権侵害警告キャンペーンは、JASRACではないものの、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によって2001年末より開始されており、それを踏まえてのものとも考えられる。

こうしたIMを利用した警告は、2004年にはRIAJによっても始められ、現在まで続けられている。

このニュースに対するダウソ板の反応は全く覚えていないのだが、ばっかでー、と、カスラック氏ね、という反応が半々か、4対6くらいだったに違いない。多分、そんなに外れていないはず。

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2004年1月:WinMXユーザの警察官、わいせつ図画陳列の容疑で逮捕

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2004年1月21日、北海道警は、香川県警の巡査長(40)をわいせつ図画陳列の容疑で逮捕した。この容疑者は2003年12月3日から4日にかけて、ウェブサイト上にわいせつ画像を5点、またファイル共有ソフトWinMXを利用して不特定多数のユーザに閲覧させたとされる。

容疑者は調べに対し容疑を認めており、画像は「インターネットで公開されているのを集めた」と供述。

そもそもの発端は、2003年10月に札幌在住の女性から「わいせつな画像が流れているので取り締まって欲しい」との相談を受け、道警が捜査していたもの。一部では流出画像の転載(または当事者による転載)では?と憶測されていたような気もするが、その詳細に関しては失念してしまったので、ご存じの方は情報提供をば。

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2004年1月:WinMXユーザの会社員、わいせつ画像を公開で逮捕

winmx_logoWinnyユーザ逮捕から1ヶ月と少し、未だ激震さめやらぬダウソ板は、次もまたWinnyユーザが逮捕されるのではないかとぼんやり心配していたが、次の逮捕者はWinnyではなくWinMX、容疑は著作権の侵害ではなくわいせつ物の陳列だった。

2004年1月8日、静岡県警少年課は、神奈川県在住の会社員(29)を、ファイル共有ソフトWinMXを利用し、わいせつ画像を不特定多数のユーザに配信したとして、わいせつ物陳列容疑で逮捕した。

容疑者は2003年10月27日10時25分頃、自宅パソコンからWinMXを利用しわいせつ画像を共有していた。その際、わいせつ画像につけられていたファイル名が静岡県内の県立高校1年の女子生徒の名前であったという。この件は、同県警ハイテク犯罪対策室のネット監視中に発見されたもので、おそらくは未成年者の画像が流通していることから、捜査に乗り出したものと思われる。

ここまでのP2Pファイル共有での逮捕者の大半はわいせつ物陳列の容疑であり、著作権侵害によるものはWinMX、Winny各1件ずつであった。この時点で「エロは大丈夫」神話は崩れさったようにも思えるのだが、この当時も著作権侵害に対する過敏さの方が強かったようにも思える。エロ系で逮捕された方が\(^o^)/な感じがするが。

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