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もうだめぽニュース

P2Pファイル共有に関連した国内検挙事例、裁判を振り返ります。

2004年

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2004年11月:レコード会社各社、音源を公開したWinMXユーザの情報開示請求

winmx_logo2004年11月から12月にかけて、RIAJメンバーのレコード会社8社はISP13社に対し、WinMXを利用して音楽データを不特定多数のユーザに公開していた発信者情報の開示請求を計3回、計44名を対象に行った。これはプロバイダ責任制限法第4条第1項に基づいて行なわれたもの。

翌年の2005年7月、この請求に応じISPより開示された情報を元に、WinMXユーザとレコード会社との間に和解が成立した。

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2004年5月:RIAJを騙り ファイル交換ソフト利用者を狙う振り込め詐欺

なぜかこの時期に立て続けに発生したファイル共有ソフト利用者をターゲットにした振り込め詐欺。おそらく同一の詐欺師集団がやってたんじゃないかなと思えるのだが…。

2004年5月27日、日本レコード協会(RIAJ)は、同協会から委託を受けたと称する(株)グローバルジャパンという会社から、ファイル共有ソフトを利用し違法に音楽データをやり取りしているとして損害賠償の支払いを求める葉書が送付されている、として注意を喚起している。RIAJは同社との関わりは全くない、とのことで、これまた著作権団体が詐欺に利用された形となった。

その葉書の内容は、

「貴方様がインターネットご利用時に使用されたファイル交換ソフトから違法な音楽データ等のやりとりが確認されました。よって著作権及び著作隣接権の対象となる音楽ファイルなどを許諾なく公開しているとみなします。(中略)日本の著作権法では、これらの著作権及び著作隣接権の侵害行為は、民事上差止請求となります。」

社団法人 日本レコード協会|プレスリリース

というもので、まぁずいぶんとへたっぴぃな文書だなと。また、和解案として、損害賠償として428,000円の支払いが求められていた。この文書の全文は、架空請求データベースにも掲載されている。

また、この架空請求詐欺事件と同様の文面が用いられた葉書が、JBC MUSICなる別の会社から送りつけられるというケースもあった。これも同様に詐欺なのだが、こちらは運悪く架空請求詐欺バトラーに見つかってしまい、そのやり取りが音声記録として残されている。

これは痛快過ぎる。

参考リンク

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2004年5月:Winny開発者、著作権法違反幇助の容疑で逮捕

winny_logo2004年5月10日、京都府警生活安全課ハイテク犯罪対策室は、Winny開発者の47氏こと金子勇氏が著作権法違反幇助の容疑で逮捕した。2003年11月にWinnyユーザ2名が著作権法違反の疑いで逮捕されていたが、Winnyの開発がこの2名の著作権侵害を幇助した、として逮捕に踏み切ったとされる。なお、京都府警は2003年11月に2名のユーザが逮捕された際、金子氏の自宅も家宅捜索し、Winnyのソースコードを押収、その後任意の取り調べを続けていた。

逮捕に際し、京都府警は

「2ちゃんねるなどに掲載されていたWinnyの開発意図から、著作権法違反ほう助の疑いを適用した」とコメント。

京都府警、Winny開発者逮捕〜事情聴取では47氏が違法性を認める発言も

とコメントしていた。また、逮捕後の金子氏は取り調べに対し、Winnyの開発の動機として、

「現行の著作権法に疑問を感じていた。その中(現在の法体制の下)で違法にデジタルコンテンツがやり取りされるのは仕方がない。それなのに企業が新たなビジネスモデルを構築せず、警察に取り締まりを任せている。この体制を崩壊させるには、ネット上で著作権法違反をまん延させる必要がある」

Winny開発者逮捕、著作権法違反幇助の容疑で:ニュース - CNET Japan
と発言していたと、京都府警がいっていた。 実際、裁判では被告となった金子氏側は、こうした主張は警察側の創作・作文であり、Winnyは新たな技術の開発を目的としたものと真っ向から否定している。

2004年5月31日、京都地検は金子氏を著作権法違反幇助の罪で起訴した。

個人的な感想としては、Winnyは著作権侵害を容易にしている部分もあるが、かといってこの時点での開発者の逮捕は無理矢理過ぎる感があるように思える。

ちなみに、ダウソ板は一部かなりの動揺を見せていたが、ちゃっかり「Winnyの次」スレも盛り上がる当たりはさすがだった。

なお、一審は有罪判決が下されたが即日控訴。現在も係争中。

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2004年4月:JASRACを騙りWinnyユーザを狙った電話による架空請求詐欺

winny_logo2004年4月5日、日本著作権協会(JASRAC)からの依頼と称してWinnyユーザに対し、金を払えと要求する架空請求詐欺があったことが判明。この2ヶ月くらい前にもWinMXをIMを利用した架空請求詐欺があり、当時はそれが最先端の流行だったんだろう。

JASRACは

ネットワーク調査協会を名乗り、「JASRACの依頼でWINNYを使用しているかどうか調査している。使用しているようなので50万円支払え」とする架空請求があった

JASRAC プレスリリース

として、こうした詐欺に引っかからないよう注意を喚起した。なお、この件も前回の類似したケース同様、ユーザからJASRACへの問い合わせがあったことで発覚した。

まぁ、犯人たちがこうした詐欺を思いつくというのも、JASRACの日頃の行いの良さ、お行儀の良さがゆえなのだろうね。

参考リンク

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2004年3月:ISPに対し 個人情報リストを公開していたWinMXユーザの情報開示命令

winmx_logo2004年3月12日、ファイル共有ソフトWinMX上で自身の個人情報を送信されたという男女7名が、BIGLOBEに対し送信者の情報開示を求めていた裁判で、東京地方裁判所はBIGLOBEを運営するNECに情報開示命令を下した。

東京地裁は、2002年に施行された「プロバイダー制限責任法」に基づき、

「WinMXを通じて、原告の氏名や年齢、住所、電話番号などが記載された個人情報リストが流出し、プライバシーが侵害された」

東京地裁、プロバイダー責任制限法でNECにWinMXユーザーの情報開示命令

としてNECに情報を開示するよう命じた。

これってエステ顧客データの漏洩に絡んでのものだったと思ったけれど、その辺の記憶は定かではないので、ご指摘いただければ幸い。

参考リンク

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2004年2月:JASRACを騙った架空請求IM詐欺がWinMXで横行

winmx_logoここで扱っている事件とは少し毛色が違うが、ファイル共有を利用した犯罪、という意味ではここに掲載しておいた方が良いかなと思って。

2004年2月ごろより、日本音楽著作権協会(JASRAC)を騙り、ファイル共有ソフトWinMXのインスタント・メッセージ(IM)機能を利用した架空請求詐欺が横行した。

このIMは、JASRACの名を騙り、著作権侵害に対する警告と電話番号が掲載されており、この電話番号に電話すると、個人名義の口座に著作権使用料を振り込むよう要求される。もちろん、その電話番号はJASRACとは無関係のものであり、架空請求詐欺のためのものであった。

詐欺IMを実際に受け取ったユーザからJASRACに問い合わせがあったことから、この事件が発覚したのだが、実際に引っかかって振り込んでしまった人もいたという。

こうした詐欺IMは、JASRACだけではなく、日本国際映画著作権協会(JIMCA)を騙ったものもあり、JASRAC、JIMCA共にウェブサイト上でIM再議への注意を呼びかけた。

IMを使った詐欺を思いついたのは、おそらく犯人(またはその一味)がMXユーザで、実際にJASRACから警告を受けたことがあるからかもしれない。IMを利用した著作権侵害警告キャンペーンは、JASRACではないものの、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によって2001年末より開始されており、それを踏まえてのものとも考えられる。

こうしたIMを利用した警告は、2004年にはRIAJによっても始められ、現在まで続けられている。

このニュースに対するダウソ板の反応は全く覚えていないのだが、ばっかでー、と、カスラック氏ね、という反応が半々か、4対6くらいだったに違いない。多分、そんなに外れていないはず。

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2004年1月:WinMXユーザの警察官、わいせつ図画陳列の容疑で逮捕

winmx_logo

2004年1月21日、北海道警は、香川県警の巡査長(40)をわいせつ図画陳列の容疑で逮捕した。この容疑者は2003年12月3日から4日にかけて、ウェブサイト上にわいせつ画像を5点、またファイル共有ソフトWinMXを利用して不特定多数のユーザに閲覧させたとされる。

容疑者は調べに対し容疑を認めており、画像は「インターネットで公開されているのを集めた」と供述。

そもそもの発端は、2003年10月に札幌在住の女性から「わいせつな画像が流れているので取り締まって欲しい」との相談を受け、道警が捜査していたもの。一部では流出画像の転載(または当事者による転載)では?と憶測されていたような気もするが、その詳細に関しては失念してしまったので、ご存じの方は情報提供をば。

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9

2004年1月:WinMXユーザの会社員、わいせつ画像を公開で逮捕

winmx_logoWinnyユーザ逮捕から1ヶ月と少し、未だ激震さめやらぬダウソ板は、次もまたWinnyユーザが逮捕されるのではないかとぼんやり心配していたが、次の逮捕者はWinnyではなくWinMX、容疑は著作権の侵害ではなくわいせつ物の陳列だった。

2004年1月8日、静岡県警少年課は、神奈川県在住の会社員(29)を、ファイル共有ソフトWinMXを利用し、わいせつ画像を不特定多数のユーザに配信したとして、わいせつ物陳列容疑で逮捕した。

容疑者は2003年10月27日10時25分頃、自宅パソコンからWinMXを利用しわいせつ画像を共有していた。その際、わいせつ画像につけられていたファイル名が静岡県内の県立高校1年の女子生徒の名前であったという。この件は、同県警ハイテク犯罪対策室のネット監視中に発見されたもので、おそらくは未成年者の画像が流通していることから、捜査に乗り出したものと思われる。

ここまでのP2Pファイル共有での逮捕者の大半はわいせつ物陳列の容疑であり、著作権侵害によるものはWinMX、Winny各1件ずつであった。この時点で「エロは大丈夫」神話は崩れさったようにも思えるのだが、この当時も著作権侵害に対する過敏さの方が強かったようにも思える。エロ系で逮捕された方が\(^o^)/な感じがするが。

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