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もうだめぽニュース

P2Pファイル共有に関連した国内検挙事例、裁判を振り返ります。

警視庁

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2011年4月:児童ポルノ動画をaMuleで共有の男性、児ポ法違反容疑で現行犯逮捕

amule_log少女のわいせつな動画をaMuleを使用して不特定多数に閲覧させる目的で所持していたとして、警視庁少年育成課は、2011年4月25日までに、東京都江戸川区の無職の男性(29)を児童売春・児童ポルノ法違反(公然陳列目的所持)の容疑で逮捕した。男性は容疑を認めているという。

逮捕容疑は、2011年4月12日、7、8歳のアジア系の少女の裸体が写った動画を、aMuleを使用し不特定多数に閲覧させる目的でPC内に保存していた疑い。

押収した男性のPCからは、児童ポルノ動画を含む約270点の動画が発見された。

男性は調べに対し、 「自分はロリコンで違法とは分かっていたが、捕まるとは思わなかった」 (MSN産経) 「過去に捕まった人がいるが、自分は大丈夫だろうと甘い考えでやっていた」 (nikknasports/共同)と供述している。また、男性は10年ほど前から児童ポルノを収集していたという。

警視庁少年育成課によると、aMuleを使用した児童ポルノ事件の摘発はこれが初となる。

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2011年1月:eMuleで児童ポルノを公開の男性 児ポ法違反で逮捕

emule2011年1月15日、eMuleを使用して児童ポルノ画像を公開したとして、警視庁少年育成課と志村署は、千葉市の無職の男性(43)を児童売春・児童ポルノ法違反(公然陳列)の容疑で現行犯逮捕した。男性は容疑を認めている。

逮捕容疑は2011年1月15日午後9時半頃、自宅PCからeMuleを使用し、8歳前後のアジア系と見られる女児のわいせつな画像3点を不特定多数に閲覧可能な状態にした疑い。

警視庁少年育成課によると、この画像は児ポ法施行以前に制作、出版され、現在は絶版となっている少女ヌード写真集の一部だという。

男性は、「自分はロリコンではないが、中学生から20歳くらいまでの女の子に興味があった」(MSN産経)「写真集に興味があった。昨年10月から画像を集めていた」(毎日jp)と供述しているという。押収した4台のハードディスクには、児童ポルノファイルなど約4000点のファイルが保存されていた。

報道から推測するに、ダウンロードした画像はeMuleの共有フォルダに保存されていたようだ。男性は「公然陳列になることはわかっていた」(47NEWS/共同通信)という。

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2010年11月: Shareでコミックを公開の男性、著作権法違反容疑で逮捕

share2010年11月1日、Shareを使用し、「ワンピース」などの漫画コミックをShareネットワーク上に公開したとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと中野署は、北海道旭川市の団体職員の男性(35)を、著作権法違反(公衆送信権侵害)の容疑で逮捕、11月2日に東京地検に送致した。男性は容疑を認めている。

逮捕容疑は、2010年8月24日ごろから29日ごろにかけて、集英社が出版する漫画コミック「ONE PIECE」第59巻と、スクウェア・エニックスが出版する漫画コミック「鋼の錬金術師」第25巻、26巻など3作品4巻分を、権利者に無断でShareネットワーク上に公開し、不特定多数のユーザに公衆送信しうる状態にした疑い。

男性は、「以前は複数のファイル共有ソフトを使用していたが、使い勝手が良いため、Shareを使用するようになった」(ACCS)と供述しているという。

調べによると、男性は「ファイル共有ソフトは、配信を重ねれば、欲しいファイルが早くダウンロードできるようになるのでやった。漫画のデータは他サイトから入手した」(SANSPO)と供述しており、男性自身がスキャンしたものを公開していたのではなく、他サイトから入手したスキャンデータをShareネットワーク上に輸入していたことが伺える。

また、男性は漫画コミックの他にも映画など約550のファイルを無断配信していたと見られている。

参考記事

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2010年9月: Winnyで児ポ動画のキャッシュ公開の男性、児ポ法違反で逮捕

winny_logo2010年9月9日、Winnyを利用し、児童ポルノ動画をWinnyネットワーク上に公開したとして、警視庁少年育成課は、岡山県岡山市在住の無職の男性(33)を児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)の容疑で逮捕した。Winnyにおける同容疑での逮捕はこれが初となる。

逮捕容疑は、2010年7月15日、8、9歳くらいの女児2人のわいせつ動画2点を、Winnyのキャッシュファイルとして残したまま、Winnyネットワークに接続し、結果、不特定多数のユーザに閲覧可能な状態にした疑い。

ダウンロードした(している)ファイルが、キャッシュファイルとして他のユーザにアップロードされるというWinnyの仕組みから、警視庁は「『未必の故意』を問えると判断し、摘発に踏み切った」(時事通信)。キャッシュファイルによるアップロード行為によって、摘発に至った児ポ法違反のケースはこれが初となる。

また、男性の特定に際しては、今年1月に導入された警察庁の「P2P観測システム」が活用されたという。押収された男性のPCからは、児童ポルノやわいせつ動画など7〜8万点のファイルが保存されていた。

男性は容疑を認め、「以前から中学生までの女児が好きだった。09年2月ごろからウィニーを使うようになり、興味本位で児童ポルノ動画や画像を収集していた」「(引用註: Winnyは)動画を収集するのに使い勝手がよかった」(毎日jp)、「みんなに見てもらいたかった」(時事通信)と供述しているという。

参考記事

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2010年7月: テレビバラエティ番組をBitTorrentで違法配信の男性、著作権侵害で逮捕

bittorrent2010年7月20日、BitTorrentを使用し、「笑っていいとも」や「天才!志村どうぶつ園」などのテレビ番組を違法に配信したとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと目白署は、埼玉県在住の無職の男性(31)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の容疑で逮捕した。BitTorrentを使用した著作権侵害での初の逮捕事例となる。

逮捕容疑は、2010年6月4日から9日にかけて、BitTorrentを使用し、自宅PCにて録画したテレビ朝日のバラエティ番組「『ぷっ』すま」など3番組を、権利者に無断で、不特定多数のユーザに公衆送信しうる状態にした疑い。

男性は調べに対し、「番組を見逃した人のためにやった」(共同/日刊スポーツ)、「ビットトレントはウイルス感染の危険性もなく、警察も取り締まっていないと思った」(MSN産経ニュース)と容疑を認めているという。

警視庁ハイテク犯罪対策総合センターによると、この男性は2010年2月中旬から、逮捕のあった7月にかけて、バラエティ番組を中心に、NHKや民放テレビ局各社の165番組を無断で配信していたという。

なお、男性は「ビットトレントはウイルス感染の危険性もなく」との供述を行っているようだが、BitTorrentでもスパイウェアやウィルスが蔓延しており、BitTorrentを利用した情報漏洩ウィルスが今のところはない、というだけのことである。

参考記事

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[1130一斉摘発]Shareで音楽ファイルを違法配信、男性を逮捕: 警視庁

shareShareを利用し、18曲の音楽ファイルを公開したとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと築地署は、2009年11月30日、長野県の会社員男性(47)を逮捕。

男性は9月30日頃、「オリコン2009・ベスト50」といったファイル名で、JASRACおよびレコード会社4社が著作権・著作隣接権を持つ8曲の音楽ファイルを公開、また10月10日にはJASRACが著作権を持つ10曲の音楽ファイルを、Shareネットワーク上に公開していたと見られている。

警視庁によると、この会社員はオリコンチャート上位50位の楽曲から演歌を除いたものを2007年8月ごろから毎週94回にわたってリリースしていたという。(MSN産経ニュース

上記の事件の検挙は、2009年11月30日から12月1日のShareを利用した著作権侵害ユーザ11名の一斉摘発の一環として行われた。

2010年2月、東京地裁は「男性が不法に入手した音楽ファイルを常習的に違法アップロードしていた事実を認定し」、懲役2年・執行猶予3年の判決を下した(日本レコード協会)。

参考記事

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2009年9月: Winnyで映画を違法配信、男性1人を逮捕

winny_logo通算6例目となるWinnyを利用した著作権侵害事件の検挙事例。

P2Pファイル共有ソフトWinnyを利用し、映画「デトロイトメタルシティ」やテレビドラマなどを不正に配信したとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは9月15日までに、消防署員の男性(58)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の容疑で逮捕した。

逮捕容疑は、2008年11月29日から2009年2月6日にかけて、自宅のパソコンでWinnyを利用し、映画「デトロイトメタルシティ」、テレビドラマ 「マラソン」など4作品を不特定対数のユーザに公衆送信しうる状態にした著作権侵害の疑い。2008年12月に、「デトロイトメタルシティ」の配給元 東宝が「DVD発売前にもかかわらず、作品がネット上に流出している」( Internet Watch )と相談したから、警視庁が捜査していた。

警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは、2009年3月、容疑者宅を家宅捜索し、DVD約700枚を押収。容疑者は捜査後の3月末、一身上の理由から依願退職している。

容疑者は調べに対し、「他人に売らなければ大丈夫だと思った」( 時事ドットコム )、「映画が趣味だった。」( 47NEWS )、「消防署からファイル共有ソフトの使用禁止の指導を受けていたが、無料で映画を入手できるという安易な気持ちが上回った」( 毎日jp )と供述している。また、5年間で約3000作品をダウンロードし、そのうち約1000作品を無断で配信していたという。

不正に配信された映画やドラマの入手元は主にファイル共有ソフトを利用して入手していたと見られ、主に映画はWinMX、ドラマはWinnyとファイル共有ソフトを使い分けていたという。

男性に対する裁判の傍聴記事によると、この男性は事件後、離婚されたそうだ。

上記の記事にはないが、この男性には懲役1年執行猶予3年(求刑1年)の判決が言い渡されている。

参考記事

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2009年7月: Winny暴露ウィルスで漏洩した情報をShareに輸入したユーザ、著作権侵害容疑で逮捕

shareShareを利用した著作権侵害による逮捕事例としては3例目に当たるのだろうが、この事件はやや背景が入り組んでいる。

2009年7月29日、Shareを利用し、日本IBMが著作権を持つ「JAVAコーディング・設計の落とし穴」などのドキュメントファイルを、無断でネットワーク上で送信可能状態に置いたとして、東京都の無職男性(50)が、警視庁生活経済課などに逮捕された。

実はこの事件、2009年1月に発生した日本IBMの業務委託先従業員によるWinny上での情報漏洩に端を発する。この情報漏洩(IBM ニュースリリース)により、「授業料徴収システム関連の一部の資料」とそれに関連した多数の個人情報が、Winnyネットワーク上で入手可能となってしまった。逮捕された男性は、Winnyを利用してこの漏洩情報を入手し、それをShareネットワーク上にリリースするという、いわゆる「輸入」を行っていた。

日本IBMとしては、自社のドキュメントファイルの著作権などよりも、漏洩した情報の流通を食い止めたい、対処したいところだったろうが、残念なことに直接的に対処するための術は存在してはいない。そのため、苦肉の策ではあるが、漏えい情報に含まれていた自社著作物の著作権侵害であるとして、男性を検挙するにいたったのだろう。

こうした強引とも思えるやり方について、専門家は以下のように解説している。

ITジャーナリストの佐々木俊尚さんは「情報を流出させた個人は著作権法違反か窃盗罪を適用するぐらいしか立件のすべがない。個人情報窃盗罪のような刑罰の新設が何度も検討はされているが、その対象や適用範囲をどうするのかについて法の専門家の間でも意見がまとまっていないのが現状だ」と話す。

国立情報学研究所客員教授の岡村久道弁護士(情報法)も「情報セキュリティーの法整備はまだまだ遅れている。著作権法違反での摘発が続くのもそのためだ」と指摘。一方で「(同法違反が)安易に摘発の道具のように使われることに危うさも感じる。事案の悪質性とのバランスをどう考えるかが問題だ」という。

情報流出、法律間に合わず 摘発「奥の手」頼り: asahi.com

 

別の行為を抑制、抑止するために著作権を行使したとしか考えられないわけで、こうした指摘は全うであろう。問題は、こうした問題に対処しえないことであり、そのために著作権が目的を超えて使われ続けるというのは実に不健全である。

男性は、「著作権侵害になるとは思わなかった」と容疑を否認しつつも、漏洩情報の輸入については、「IBMが何の対応もせず、このままでは(流出の事実を)隠蔽(いんぺい)されると思ったので、シェアで流した」と話していたという(MSN産経ニュース)。

2009年9月28日、男性は東京地検に略式起訴され、処分が確定した。処分は定かではないが、略式命令の場合、100万円以下の罰金または科料となる。

参考記事

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2008年11月: Shareでテレビドラマを無断配信、男性1名逮捕

share2008年11月27日、Sharewo利用し、フジテレビのドラマ「太陽と海の教室」をを無断でアップロードできる状態にしたとして、千葉県の建築作業員男性(47)が、著作権法違反(公衆送信権侵害)の容疑で、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと築地署に逮捕された。男性は、同年8月25日、放送直後の同番組をShareネットワークにリリースしていた。

彼は律儀にも、放流前にその予定を2ちゃんねるにて告知していたという。

警視庁の調べによると、男性が無断配信していたと見られるテレビドラマは、民放各局、NHKなど地上波デジタル放送で放映された51番組128話222ファイルにも及ぶという。その動機については、以下のように供述していた。

「数年前からファイル共有ソフトで動画を収集して楽しんでいた。もらうばかりで申し訳ないので、自分も協力したいと思った」などと動機を供述。今年5月、シェアを使ってアニメを無断で配信した男が京都府警に逮捕され、違法な配信が少なくなってきたことから、「自分が放流(無断配信)して盛り返してやろうと思った」

フジやTBSの51ドラマも ネット無断配信事件 - MSN産経ニュース

さらに、Shareへのリリースによる大量送信によって、ISPから強制退会処分を受けたこともあったが、ISPの名義を変えるなどしてリリースを続けていたという(asahi.com)。

Shareでの逮捕は、同年5月の逮捕に続き、2例目となった。また、この件で特筆すべきは、京都府警ではなく警視庁による検挙である、ということだろうか。

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