winny_logo2010年9月27日、Winnyを利用し、日本公開前の映画をWinnyネットワーク上に公開したとして、京都府警ハイテク犯罪対策室と七条署は、茨城県日立市のホテル従業員の男性(37)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕した。

逮捕容疑は、2010年4月7日午前、自宅のパソコンからWinnyを使用し、日本での劇場公開2日前の米映画『シャッターアイランド』を不特定多数のユーザに公衆送信しうる状態にし、パラマウントピクチャーズの著作権を侵害した疑い。

京都府警によると、男性はこの映画ファイルをShareにて入手し、Winnyに「輸出」していたようだ。この映画ファイルにはファンサブ日本語字幕が付けられていたが、これはShareで入手した時点でつけられていたものと思われる。また、押収したPCを調べた結果、映画やアニメなど約2万1500点のファイルが保存されていた。「ネット上に流されていた作品を5年以上前から集め、共有ソフトで配信した」(日経新聞)と供述し、映画『シャッターアイランド』以外にも複数の映画やアニメなどを輸入していたようだ。

また、男性は調べに対し、「ダウンロードした作品を広く見られるようにするのは、同ソフトを使う者の常識。犯罪とはわかっていたが、逮捕されるとは思わなかった」(読売新聞 関西発)と供述しているという。

読売新聞 関西発によると、捜査の端緒として、「警察庁が今年1月に導入した、ファイル共有ソフトを使って流通する違法動画の監視システムで7月に見つかり、府警が捜査していた」とあり、発見した7月からさかのぼって、4月の二次的放流について検挙に至ったことが推測される。

なお、本件では「共有は常識」というフレーズが琴線に触れたのか、様々なニュースメディアがこの件を扱っているが、その表現もまた様々で実に味わい深い。

  • 「ダウンロードした作品を広く見られるようにするのは、同ソフトを使う者の常識。」(読売新聞 関西発
  • 「ファイル共有ソフトを使ってダウンロードしたものをソフト上にアップするのは、この世界では常識」(MSN産経ニュース
  • 「(流出させるのは)ファイル共有の世界の常識。」(毎日jp
  • 「ファイル共有はこの世界の常識」(asahi.com

さすがに朝日の表現は、発言の意図をねじ曲げているように感じる。以前にも書いたが、おそらく「なぜこのような行為(輸入/違法アップロード)を行ったのか」という問いを突き詰めていく過程で、「(違法)ファイル共有界隈ではそれが当たり前のルールだったから」という答えに落ち着いたというところかもしれない。供述がやや仰々しい言葉になるのも、警察の取り調べにおいて、「何となく」とか「あまり考えずにやっていた」という答えが答えにならず、明確な動機となる供述が出るまで掘り下げられるためなのだろう。

2010年11月29日、京都地裁にて初公判が開かれた。男性は起訴内容を認め、即日結審した。検察側は冒頭陳述にて、男性が情報の発信に満足感を覚えていたこと、逮捕までに数万のファイルを公開してきたことを指摘、「常習的犯行であることは明らかで、著作権者に与えた経済的被害は計り知れない」(MSN産経)として懲役1年6ヶ月を求刑した。 弁護側は、男性は反省しているとして、執行猶予付の判決を求めた。

2010年12月6日、京都地裁は男性に対し、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を下した。佐藤洋幸裁判官は複製権侵害についても認め、「著作権をないがしろにした身勝手な犯行だが、反省している」(MSN産経)として執行猶予付きの判決となった。

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