winny_logoWinnyでの著作権侵害事件としては初となる逮捕。それまでWinnyは匿名性が高いから絶対に大丈夫、などと今となっては誰も信じてくれないような盲信状態にあったWinnyコミュニティに激震が走った

2003年11月27日、Winnyネットワーク上で「スーパーマリオアドバンス」や「ボンバーマンストーリー」等GBA用ゲームソフトを「(GBA ROM エミュ)0001-0100(J)」とのファイル名で送信可能な状態にしていた無職少年、「ビューティフル・マインド」等映画を公衆送信できる状態にしていた自営業男性がそれぞれ著作権法違反(公衆送信権の侵害)の容疑で京都府警ハイテク犯罪対策室と五条署に逮捕された。この無職少年に関しては、2ちゃんねるダウンロードソフト板のコテハン ピヨピヨではないかとの噂も流れているが、その真偽は不明。

この2名の検挙に絡んで、Winny開発者である47氏こと金子勇氏宅も家宅捜査をうけ、Winny公式サイトも停止した。(当時のウェブサイトはInternet Achiveより確認できる。)

この事件では、ACCS(コンピュータソフトウェア著作権協会)が京都府警に全面協力したとされる。

ACCSでは警察からの要請に応え、男性に関して、ファイル交換ソフトを利用したソフトウェアの送信可能化状況について調査を実施したほか、対象となったソフトウェア(プログラム)について正規のものとの同一性を確認するなど、捜査に全面的に協力しました。

「Winny」を使った公衆送信権侵害を刑事摘発 | 著作権侵害事件 | ACCS

ところで、当時匿名性が高いとされたWinnyでなぜこの2名を検挙することができたのだろうか。それについてはこのように解説されている。

どのようにして匿名技術が破られたのか――。

その手法は後に、金子被告の公判で検察官によって明らかにされた。当初、府警はWinny本体に対して暗号解読を試みたが、歯が立たない。そこで WinnyBBSに目をつけ、WinnyBBS上で「これから放流します」と時間を決めて違法ファイルをアップロードすることを宣言していた人物の居場所を特定してしまったのである。

WinnyBBSというのはWinnyに付属した機能で、2ちゃんねるのようなマルチスレッド型掲示板をWinnyネットワーク上に作り上げてしまうものだ。WinnyネットワークはピュアP2Pのため中央サーバが存在せず、掲示板はWinnyユーザーなら誰でも立ち上げることができる。Winny本体の場合は送信者のIPアドレスを特定するのが困難であるのに対し、WinnyBBSであれば、比較的容易にスレッドを立てた人のIPアドレスを探し当てることができた。

そうして京都府警は放流告知していた男性2人に目をつけ、IPアドレスを特定。2人の告知していたノードに府警本部内のパソコンを接続させ、Winny の使用するポートには容疑者のパソコンのIPアドレスだけが通り、他のWinnyユーザーからのデータはブロックするように設定。これによって容疑者のパソコンと府警のパソコンを1対1で接続させ、容疑者が放流したデータをすべて府警側で受け止めることに成功したのである。

大詰めWinny公判が突きつけたソフトウェアの明日:コラム - CNET Japan

その後…

逮捕翌年の2004年、この無職少年と自営業男性に対しては、ともに懲役1年、執行猶予3年の判決が下された。

参考リンク