2011年2月17〜18日にかけて、北海道、警視庁、大阪、愛知、福岡など全国29都道府県警は、ファイル共有ソフトを使用した児童ポルノ事件の一斉摘発に着手、児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑(公然陳列など)で全国69箇所を家宅捜索し、23〜50歳の男性22人を逮捕した。また、女性1人、高校生5人を含む16〜58歳の23人に対し、同容疑で任意の捜査を進めている。
22人の逮捕容疑は、Cabos、eMule、Share、MP3 Rocketなどのファイル共有ソフトを使用し、児童ポルノ動画等をネットワーク上に公開した疑い。asahi.comによると、これらの動画は計37本、うち31本が小学生以下、3本が中学生、3本が高校生の女児の児童ポルノであったという。
47News(共同通信)によると、兵庫県警は全国で初めてMP3 Rocketを使用した事件を摘発したという。MP3 Rocketは、LimeWire/Cabosなどと同じGnutellaクライアントであったが、今年1月よりP2Pファイル共有機能を削除し、YouTube等からMP3を抽出するソフトウェアに路線変更している。逮捕された男性は以前のバージョンを使用していたと思われる。
なお、ファイル共有ソフトを使用した児童ポルノ事件の全国一斉摘発は、2010年9月に続き2度目。前回は21都道府県警が実施し、18人が逮捕された。
参考記事
以下、個々のケースについて報道のあったものを。
青森県警
2011年2月18日、青森県警少年課と三沢署は、eMuleを使用し、児童ポルノ画像を公開していたとして、上北地方の男子高校生(18)から児童売春・児童ポルノ法違反(公然陳列)の容疑で事情を聞き、近く書類送検する方針であることを明らかにした。また、家宅捜索も行われ、パソコンなど13点が押収された。
容疑は、2011年2月17日、自宅PCよりeMuleを使用し、児童ポルノ画像を不特定多数のユーザに閲覧可能な状態にした疑い。
一斉取締りに際し、サイバーパトロールを行っていた広島県警により事件が発覚し、青森県警に連絡したことが捜査の端緒となった。
福島・山形県警共同捜査班
2011年2月17日、福島・山形県警共同捜査班は、ファイル共有ソフトを使用し児童ポルノ画像を提供する目的で所持していたとして、福島県いわき市の会社員(24)、浅川町の会社員(37)、伊達市の不動産賃貸業手伝い(36)、茨城県の内装工(36)、栃木県の会社員(36)ら男性5人を、児童売春・児童ポルノ法違反(公然陳列目的所持)の容疑で逮捕した。
逮捕容疑は、それぞれCabosやLimeWireを使用し、児童ポルノ画像を公衆に提供する目的で所持した疑い。
共同捜査班は福島県、栃木県、茨城県の住宅や車両など関係13箇所を家宅捜索、パソコン等を押収し、多数のわいせつ画像を確認した。
福島・山形県警共同捜査班のサイバーパトロール中に事件が発覚したことが捜査の端緒となった。
滋賀県警
2011年2月17日、滋賀県警少年課と大津署は、Shareを使用し、児童ポルノ画像や動画を公開する目的で所持していたとして、大阪市の会社員の男性(44)を、児童売春・児童ポルノ法違反(公然陳列目的所持)の容疑で現行犯逮捕した。
逮捕容疑は、2011年2月17日午後1時ごろ、児童ポルノ画像や動画をShareネットワーク上で公開する目的でハードディスク内に所持していた疑い。
男性は調べに対し、「10年くらい前から興味を持って集めていた」と容疑を認めているという。
長野県警
2011年2月18日、長野県警と千曲署は、eMuleを使用し、児童ポルノ動画を公開したとして、ブラジル国籍で埼玉県嵐山町の派遣社員の男性(38)を児童売春・児童ポルノ法違反(公然陳列)の容疑で逮捕した。男性は容疑を認めているという。
逮捕容疑は、2010年2月17日、eMuleを使用し、少女の裸などが写った動画を公開し、不特定多数が閲覧しうる状態にした疑い。